島津製作所、元素選択式ガスクロマトグラフ質量分析計「ELEM-SPOT(エレムスポット)」を発売

島津製作所、元素選択式ガスクロマトグラフ質量分析計「ELEM-SPOT(エレムスポット)」を発売

発表日:2024年04月08日
世界で初めて含酸素・窒素成分の検出を可能に
元素選択式ガスクロマトグラフ質量分析計「ELEM-SPOT」を発売

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島津製作所は、4月8日に元素選択式ガスクロマトグラフ質量分析計「ELEM-SPOT(エレムスポット)」( https://www.an.shimadzu.co.jp/products/gas-chromatography/application-specific-system-gc/elem-spot/index.html?_ga=2.172892259.178885164.1712563926-1697479456.1712563926&_gl=1 )を発売します。バイオ燃料の品質などに影響する含酸素および含窒素成分だけを、原料に含まれる多数の成分から選択的に検出できる製品は世界初です。本製品は、フランスの石油大手、TotalEnergies(以下、トタル社)、フランスのポー大学、スペインのオビエド大学と共同開発しました。バイオ燃料の原料中に含まれる、製造効率や品質の悪化原因となる成分について、その存在や含有量、除去処理の効果を簡単に確認できます。当社は、化石燃料からバイオ燃料への移行に、バイオ燃料の分析手法の確立を通じて貢献します。

近年、カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)に向けた新エネルギーの研究が進んでいます。特に、サトウキビ・トウモロコシなどの可食部を利用した「第一世代」ではなく、サトウキビの皮や茎、藻類などの非可食部や廃棄プラスチックなどを利用した「第二世代」のバイオ燃料に関する研究開発が盛んです。これらのバイオ由来原料やリサイクル原料には、化石燃料とは異なる未知の成分が多く含まれています。そのため「酸素や窒素はバイオ燃料の製造効率および品質の低下につながるが、多数の未知成分中から目的成分だけの検出は困難」「効率的な評価・分析手法が確立されていない」という課題がありました。

「ELEM-SPOT」は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)と酸化炉で構成されています。バイオ由来原料やリサイクル原料に含まれる化合物をGCで分離した後、酸化炉で酸化分解し、MSで選択的に酸素や窒素だけを検出します。製造工程で使用する触媒に悪影響を及ぼす酸素や窒素を検出し、除去処理を行うことで触媒の品質劣化によるバイオ燃料の品質低下や、触媒交換によるプラント停止・製造効率の低下を防ぐことができます。従来は数時間かかっていた「数百本のピーク(測定した成分を示す波形のグラフ)を一本ずつ吟味して酸素や窒素を見つける」という作業が80%以上短縮でき、業務効率の向上につながります。

島津製作所とトタル社、ポー大学、オビエド大学は、2021年からクリーンエネルギー分野における包括的な共同研究を進めてきました。本製品は、トタル社ら3者が持つ「バイオ燃料の含酸素成分の特定」に関する革新的な特許技術と、当社の高性能GC-MS技術により実現しました。島津製作所は引き続き本製品のユーザビリティ向上に取り組んでまいります。

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